2013年8月17日土曜日

『バジリスクの道』という漫画を描いた訳 その1


月刊フラワーズ9月号で『バジリスクの道』という漫画を描きました。
この短編では恋や友情とは、少し違うテーマを描いています。
普段は自分の描いた漫画について、説明したり語ったりはしませんが、
今回はそのテーマについて、少しお話をさせてください。

きっかけはネットで偶然見かけた、シリア難民の少年へのインタビューでした。
『僕のお父さんは仕事を持ってたし、家には食べ物もあった(だけど今はここにいる)』
確かそんな短いインタビューでした。


私は今年のはじめまで、シリアの事を何も知りませんでした。
ジャーナリストの山本美香さんが亡くなった国、
大人も子供も常に飢えている貧しい独裁国家‥そんなイメージでした。
でもこのインタビューで、シリアに私たちの生活と変わらない、「普通の暮らし」があったことを知りました。
では何故今も続く内戦に陥ったのか‥。
それから、シリアのことを調べはじめました。

もしよかったら読んでみて下さい。
シリア内戦についてのNHKの特集まとめ記事です。

シリアに暖かい人々の暮らしがあったこと、それが段々破壊されていった様を教えてくれたのは、シリアで活動されてきた考古学者、山崎やよいさんのブログでした。
シリア国内で、難民キャンプで、暮らす人々の『今』を伝えてくれる貴重なブログです。

YOUTUBEには内戦の被害者の凄まじい動画が沢山アップされています。
今年の4月、『アラブの春』から2年たった時点で、死者数は7万人、難民は100万人でした。
(現在では死者数は10万人を越えているようです)
内戦の中で育っていくしかない子供達のことが、心に深く残りました。

自分は何かできないかと考え、ですが、
すぐ漫画を描こうとは思いませんでした。
こういうテーマの漫画を描くことを想定していなかったからです。
多分、誰も読みたがらないし、求められていない。
そう思っているからです。

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